デービッド・アトキンソンとは
菅義偉新総裁が首班指名選挙で第99代内閣総理大臣に選出され、菅内閣が発足することになる。菅首相が、安部前首相のアベノミクスを踏襲する、と言う話は昨日の投稿に書いたばかりだが、その影響を受けているであろう人物として、「デービッド・アトキンソン」という英国人がいる。
1年前のものだがこちらの記事。
記事「菅長官「今後のカギは統合リゾートとスキー場だ」」(2019年9月7日号 週間東洋経済Plus)
2人は2013年ごろから親交があったようだ。1年前の記事ではあるが、昨日の投稿の通り、
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規制緩和系:
労働規制の緩和(派遣拡大、高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)等)、コーポレートガバナンス改革、混合診療(患者申し出療養)拡大、水道など公共サービスの民営化。
グリホサートの安全基準引き上げ、種子法廃止、農協改革、農地法や農業委員会法の改訂、漁業法改訂、国家戦略特区、電力自由化、民泊拡大や白タク解禁の検討、シェアリング・エコノミー推進。
IR法(カジノ解禁)、法人税減税(法人税減税は「企業への徴税という規制の緩和」という意味で、規制緩和の一部を成す)。
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自由貿易系:
TPPや日米FTA、日欧EPAなどの自由貿易協定。出入国管理法改訂による
移民受け入れ拡大。観光業のインバウンド(外国人観光客)依存推進のためのビザ緩和。外国人の土地購入推進。
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この部分を思い切り推進したくて仕方がない、と言う印象だ。「この”インバウンド全盛”の今(当時)だからこそ、日本の観光資源を切り売りし、カジノを作り、今まで以上に外国人にきてもらおう」ということだったのだろう。
さて、私も一時期携わったことのあるこの「インバウンド」、ご存知の通り、訪日外国人に自分たちの商品を買ってもらおう、ということだが、今このコロナ禍においてどのような状況にあるのかは皆の知るところだ。この後に及んで自国の資源を使った自国民のためのサービスではなく、あくまでも「外国人のためのサービスを国家の基本に」などというのであれば、大局観が欠落しているとしか言いようがない。
そこでこのデービッド・アトキンソンという人物なのだが、彼はまさに日本に巣食うグローバリストの見本のような人物なのだろう。彼が、「日本には素晴らしい観光資源がある。この資源を日本国内だけに留めておくのはもったいない!門戸を広げこれによってより潤う国造りをしよう!」と、こういうことだ。
このように「インバウンド!インバウンド!」と叫び続けた結果、日本各地の観光地がどのような状況になっているのか、ニュースなどをソースにしなくとも容易に想像ができるだろう。
さらに悪巧みしているようだ
さらにこの氏、このようなことも考えているようだ。
記事「この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした」(2019/10/03 5:30 東洋経済ONLINE)
これを受けて菅首相、
記事「菅氏、中小企業の再編促す 競争力強化へ法改正検討」(2020/9/6 2:00日本経済新聞 電子版)
どうやら、日本がデフレから脱却できないのは、「中小企業の生産性が低いから」ということのようだ。彼らは、この「生産性が低い」理由も検証しないまま、「構造改革」の名の下に、さらに「新陳代謝」などと耳馴染みの良い言葉を使い文字通り中小企業を潰しにくるだろう。「この法律があるために中小企業は生産性が低く、日本のデフレの原因になっている!」というわけだ。
さてその中小企業、私も含めて多くの人がそのカテゴリーに属していると思うのだが、2016年と少し古いデータによると、
(※付加価値額=全ての売上合計金額-(材料費などの売上原価金額))
こういうことらしい。思っているより多い少ないは人それぞれだが、切って捨てるには多すぎる割合では無いだろうか。
参考までに、日本経済新聞によると、
「中小企業とは、中小企業基本法で定義づけられる。業種によって異なり、製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下、サービス業は資本金5千万円以下または従業員100人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員20人以下の企業をさす。この定義は原則で、政府の支援対象は制度により異なる場合がある。」
中小企業とはこういう定義らしい。
もちろんこのデービッド・アトキンソン氏や菅首相が言うようなことが、すぐにこの定義に当てはまるすべての中小企業に影響が及ぶことがあるわけではないだろうが、個人事業主を含む労働者の7割弱が何らかの影響を受けると思うと、そのインパクトは小さくない。
と言うように、まさに「世の中の雰囲気」「なんとなく」というその「空気感」だけで物事を見て判断しているといかに危険かということが、この菅首相の根底にある考えだけでもお分かりいただけるのではないだろうか。
引き続きこういった情報が目についたときにはアップしていきたいと思う。