そもそも”大阪都構想”などという名称ではない
さて、本日11月1日、大阪市廃止および特別区設置の是非を問う住民投票が行われる。該当地域外に住んでいる方にはさほど大きく聞こえてこないこの”大阪都構想”、そもそも「都構想」などと言う名称は、維新の人たちが付けたもので、こちらの選挙管理委員のHPにあるように、
「大阪市廃止・特別区設置住民投票」
が正式な名称だ。いわずもがな、維新が当投票の重要な部分を隠していることは明々白々なわけだが、この大阪市”廃止”ということを、実は知らない層が一定数いることがわかっている。
大阪市のHPには恐ろしいことに、メリット・デメリットのところに、
「特別区制度(いわゆる「大阪都構想」)により、大阪の成長のための取組みをよりスピーディーに進める体制と、身近なことは身近で決めることができる仕組みが実現します。」
と、こういった連中が好んで使う、
「一切の具体的な説明のない、耳馴染みのいい言葉」
がちりばめられているから恐れ入る。(参照:大阪市HP)
大阪市が分割されて4つの特別区になるので、当然ながら今まで大阪市が一体で担っていたサービスが再分配、人員配置など余計なコストがかかってします。ある試算によると、イニシャルコストで240億以上、年間のランニングコストに少なくとも30億円以上かかってしまうとのこと。今までどおり大阪市のままであればそのようなコストはもちろん必要のないものだ。これまで通り、市民の行政サービスのために活用される。
さらに、「二重行政の解消」「無駄の削減」と、相も変わらず何一つ具体性の無い、聞く人・見る人が「何となく(今までの仕組みに対して悪い)イメージを持つような」言葉を使い、民意を誘導しようとしている。
冷静に考えれば分かることだと思うのだが、今現在進行している都市計画などもすべて白紙に戻ることになるだろうから、そのためのコストは当然嵩み、さらには人員配置などでも相当な混乱が起こることが予想される。
「大阪のためには必要なんです!」と言うことがその実、マイナスでしかないことは維新の人たちは口が裂けても言わない。
大阪市解体は日本解体の序章になりうる
もし大阪市解体が決まってしまえば、西日本の経済が落ち込むだけにとどまらない。維新が全国的に力を持つことになり、同様の「改革」という名の解体工作が跋扈していくことになるだろう。
「自由主義」「グローバル」など、先進国では日本くらいではないかと思うほど周回遅れの言葉だが、これを声高に叫ぶ勢力がますます力を付けていく。水道自由化、電力自由化など、今までは行政サービスであったからこそ安心・安全を享受できていたものが、段々と民営化され、サービスの質は低下し競争にさらされてサービスの料金も高くなっていく。
リーマンショック、震災など日本を襲う天災、そして今回の新型コロナと、共同体の大切さを身を以て体感した方も多いのではないかと推察する。「大阪市廃止構想」は、そのような共同体意識を破壊し、周りはすべて敵、常に競争にさらされるような混沌とした世界への入り口打と言うことを理解してほしい。
ぜひ、該当地域にお住まいの方もそうでない方も、残り時間は限られるが一人でも多くの方に広めてほしい。
これからの子どもたちの日本のためにも。